予防接種について

予防接種のイメージ写真

予防接種で使用するワクチンは、私たちの体に備わる免疫システムを利用したもので、接種することにより感染症への感染予防や、重症化の予防が期待できるものです。

ワクチンの種類としては、

  • 生ワクチン(生きたウイルスや細菌の毒性を最大限弱め、病原体をそのまま使用したもの)
  • 不活化ワクチン(ウイルスや細菌をホルマリン処理や紫外線照射などで無害化したもの)
  • トキソイド(細菌の毒素だけを取り出してホルマリン処理を行い、無毒化したもの)

などがあります。

当院で行う予防接種

当院では各種ワクチンによる予防接種を行っています。事前にお電話にてご予約ください。

子宮頸がんワクチン

子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルス(以下HPV)というウイルスに対するワクチンです。子宮頸がんとは、女性の子宮の入り口付近である子宮頚部にできるがんのことです。主に性交渉によるHPV感染が原因です。

HPVは性的接触のある女性であれば50%以上が生涯で一度は感染するとされている一般的なウイルスです。子宮頸がんをはじめとした、肛門がん、膣がんや尖圭コンジローマなど多くの病気を発生させる原因の一つです。日本では20~40代の女性を中心に毎年約1万人の方が子宮頸がんと診断されており、毎年3000人程の方が亡くなっています。特に近年若い女性の子宮頸がんの罹患は増加していることから、HPV感染を防ぐため国から定期接種の対象(自己負担0円)として行われています。対象年齢は小学校6年生~高校1年生です。条件付きではありますが、2026年3月までは平成9年度~平成19年度生まれの女性で対象年齢の間、接種を逃した方のキャッチアップ接種が可能です。詳しくは、厚生労働省ホームページをご確認ください。

ワクチン接種の効果

HPVには子宮頸がんを起こしやすい種類(型)があります。現在16、18型をはじめ31、33、45、52、58型を含む15個程度の型ががんになりやすいことが知られており、ハイリスク型と呼ばれています。
これら種類に対応する3つのワクチンがあり、2価(サーバリックス)、4価(ガーダシル)、9価(シルガード9)のワクチンがあります。
2価(サーバリックス)および4価(ガーダシル)は子宮頚がんを起こしやすい種類であるHPV16型、18型に対応しており、子宮頸がんの原因の50~70%を防ぎます。
シルガード9はHPV16、18型に加え31、33、45、52、58型にも対応しているため、子宮頸がんの原因の80~90%を防ぐことが分かっています。3種類いずれも1年以内に規定回数の接種を終えることが望ましいとされており、当院では9価(シルガード9)のワクチンのみ対応しています。事前の電話予約をお願いします。がんの予防が期待できるワクチンですので、HPVに感染する可能性が低い定期接種の時期に接種しておくことをお勧めしています。

詳しくはこちらをご参照ください。
子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)/知立市 -輝くまち、みんなの知立‐ (city.chiryu.aichi.jp)

風しんワクチン(妊娠希望の方、妊娠中の女性のご家族様へ)

風しんとは、「3日ばしか」とも呼ばれるもので、風しんウイルスによって起こる感染症です。くしゃみや咳などで飛び散っている風しんウイルスを吸うことで感染します。通常は、2~3週間の潜伏期間があり、その後発熱や発疹、耳や首の後ろのリンパ節の腫れ、関節痛などの症状がみられます。
子供がかかりやすい病気とされていますが、成人が罹ると重症化し、脳炎や血小板減少性紫斑病を併発する場合もあります。また妊娠初期の妊婦の方が罹患すると、胎盤を通じて赤ちゃんに耳や眼、心臓等に異常をきたす「先天性風疹症候群」が現れる危険性があるため妊婦の方は注意が必要です。ただし風しんワクチンは生ワクチンで、胎児に影響を与える可能性があり妊婦の方は接種することができないため、妊娠前に接種しておくことが大切です。

また妊婦中の女性への風しんの感染を防ぎ、産まれてくる赤ちゃんを先天性風しん症候群から守るためには、周囲の方も風疹に対して抗体を持つ必要があります。妊婦健診にお付き添いのご家族様などもお気軽にご相談ください。
風しんの予防にはワクチン(予防接種)が有効です。
風疹に一度もかかったことがなく、風しんワクチン接種歴のない方は積極的に抗体検査やワクチン接種を検討しましょう。
※ワクチンは生ワクチンになるため、女性は接種後2カ月間の避妊が必要になります。妊娠を検討されている方は早めのご相談をお勧めします。

知立市では風しんワクチンに対する助成があります。詳しくはこちらをご参照ください。
知立市風しんワクチン(任意)予防接種助成事業のご案内/知立市 -輝くまち、みんなの知立‐ (city.chiryu.aichi.jp)

当院では風しん抗体検査も行っています。詳しくはお問い合わせください。

麻しん(はしか)ワクチン

麻しんは一般に「はしか」と呼ばれるものです。感染力がとても強いウイルスで、空気感染や飛沫感染、接触感染などがあり、初めて麻しんに感染するとほぼ100%発症します。海外では流行している地域もあり、旅行中など長時間同じ電車内や飛行機内に感染者がいると、抗体を持っていない場合感染の可能性がかなり高まります。39℃以上の高熱と発疹が出現するのが特徴で、肺炎、中耳炎を合併する危険もあります。10代~20代に多い感染症とされていますが、近年では成人にも流行がみられる傾向にあり、かつ成人が罹患すると重症化する可能性が高いと言われています。

妊娠中に麻しんに感染すると、流産や早産のリスクが高まる可能性がわかっています。妊婦さん自身も重症化をおこし、肺炎や脳炎などの合併症を引き起こすことがあります。
麻しんの根本的な治療法はなく、症状に対して対症療法を行います。ただし一度免疫ができると再度麻しんを発症する可能性は基本的にはないと考えられるためワクチン接種が望ましいとされています。

当院では麻しん抗体検査も行っています。詳しくはお問い合わせください。

MRワクチン

MRワクチンとは麻しん・風しん混合ワクチンのことで、麻しん(Measles)と風しん(Rubella)の頭文字を取り、「MRワクチン」と呼ばれています。それぞれのウイルスを弱毒化してつくった生ワクチンを使用します。乳幼児は2回接種することで効果が高まり、1回目と2回目は基本的に4週間の間隔をあける必要があります。大人は通常1回の接種でよいとされています。

乳幼児のMRワクチン接種については、こちらをご参照ください
麻しん風しん混合(MR)1期・2期~乳幼児~/知立市 -輝くまち、みんなの知立‐ (city.chiryu.aichi.jp)

肺炎球菌ワクチン

肺炎球菌は通常から鼻や喉に存在しているありふれた菌で、とくに乳幼児の鼻咽頭に多く定着しています。赤ちゃんから高齢者に感染するというパターンもあります。通常の免疫力があれば発症しませんが、加齢や何らかの原因で免疫力が低下していると発症します。重症化してしまうと肺の機能が低下するほか、髄膜炎や敗血症、中耳炎などの合併症を引き起こすことがあります。高齢者の肺炎の発症原因として最も多いとされており、肺炎は高齢者の死亡原因として非常に高い割合を占めていますので、予防接種しておくことをお勧めします。

肺炎球菌ワクチンは定期接種となっています。対象となるのは65歳の方および60歳から65歳未満の方で一定の条件を満たす方です。
当院は知立市の高齢者の肺炎球菌感染症予防接種 指定医療機関となっています。

詳しくはこちらのサイトをご参照ください。
令和6年度高齢者肺炎球菌について/知立市 -輝くまち、みんなの知立‐ (city.chiryu.aichi.jp)

インフルエンザワクチン

インフルエンザは咳や喉の痛みなど風邪に似た症状に加えて、38℃以上の高熱や倦怠感、関節痛、筋肉痛など全身症状が現れるのが特徴です。原因となるのはインフルエンザウイルスで、毎年秋の終わりごろから春先にかけて流行する季節性の感染症のひとつです。多くの場合、1週間~10日で症状は治まりますが、高齢の方や基礎疾患のある方で免疫力が低下していると、重症化して肺炎を併発することが少なくありません。また小さなお子様では痙攣や中耳炎、まれに急性脳症を合併することがありますので注意が必要です。

ワクチンは接種から予防効果を発揮するまで約2週間かかり、効果の持続期間は約5ヶ月とされていますので、毎年、その年の流行期が始まる前に接種するようにすることが大切です。なおインフルエンザワクチンはその年に流行する株を予測し、夏ごろまでにそのシーズン用のワクチンが作られます。

高齢者(65歳以上)のインフルエンザ予防接種に関しては、知立市による補助があります。流行季節前(9月下旬ころ)に予診票兼接種券が知立市から届きます。

帯状疱疹ワクチン

帯状疱疹は水痘帯状疱疹ウイルスが原因の感染症です。初めてこのウイルスに感染したときに発症するのが水痘(みずぼうそう)で、子供の頃に感染した後、神経などにウイルスが潜伏していて、何年も経ってから再活性化して発症するのが帯状疱疹です。加齢や過労、ストレスなどによる免疫力の低下が発症の原因で、発症すると神経に炎症を起こして神経節から皮膚へと移動し、帯状に痛みや疱疹の症状が現れます。炎症がひどい場合は、疱疹が治った後も痛みが続く、帯状疱疹後神経痛となることがあります。

帯状疱疹は50歳を過ぎたころになると発症することが多いため、任意とはなりますが、50歳以上の方には帯状疱疹ワクチンの接種が推奨されています。ワクチンには生ワクチンと不活化ワクチンの2種類があります。